イカ墨セピアインク

ライト

¥6,600(消費税込)

万年筆博士オリジナルボトル 50ml入り

古典的な製法に超微粒子加工を加えた世界初万年筆用のイカ墨セピアインク 濃度をおさえた「ライト」

一般的な万年筆では濃度をおさえた「ライト」が詰まりにくく扱いやすいです。インクフローの良い万年筆などでしたら「ダーク」をお勧めします。


セピアインクとは?

 セピアの語源は古代ギリシャ語でコウイカをさします。地中海沿岸地方では古代よりイカが食材にされるとともに、副産物であるイカの墨がインクとして使用されていました。これが西洋全般に広まるようになると、セピアという単語はイカ墨やそのインク、そしてその色をも意味するようになります。
 
 ソクラテス、プラトン、アリストテレス、ソロン、キリスト教の福音書を書いた 4 人のエバンジェリスト(マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネ)、レオナルド・ダ・ヴィンチ、レンブラント、ベートーヴェン、マリー・アントワネット、ナポレオンなど歴史的人物は皆、セピアインクを使って羽根ペンやつけペンで書いていました。今日もなお存在するセピアインクで書かれた書物の中には、2,000年以上前のものが存在します。

 1920年頃、来日したイギリスの陶芸家、バーナードリーチが持参したインクビンの中身は、フランス製セピアインクでした。これは面白いと日本で初めて作ったのが鳥取の民芸の父、吉田璋也耳鼻咽喉科医師(1898-1972)と鳥取高農(現鳥取大学)農芸化学の河崎武矣教授です。1936年、鳥取セピアインクの名称で特許を取り発売され、1960年頃まで450円(コーヒー一杯20円から30円の頃)で、鳥取市たくみ工芸店と東京銀座たくみで売られていました。ビンの中には粉末状にしたものが入っており、水に溶いて使うといったものでした。


(↓貴重な現物を鳥取県岩美郡岩美町岩井の岩井窯、山本教行様からいただき、保存しています)



 セピアインクは、一度乾くと色あせしない、耐光性と耐水性をあわせもつ天然の顔料として愛用されました。当社2代目山本雅明が興味を持ち吉田先生に製造方法をお伺いしたところ、本気に受け取ってもらえなかったようですが、1972年吉田先生がお亡くなりになり数年が経った頃、雅明が再度、河崎先生にセピアインクを復活させたい熱意を伝えますと、方法を教えてくださいました。1985年ごろ3代目山本竜が雅明の指導の下、イカの墨袋から墨を取出し、アルカリ性や酸性の水溶液を使いセピアインクを作りました。しかし、万年筆に入れると詰まる(粒子が荒いためペン芯の毛細管を通らない)といった弱点がありました。だからこそ羽根ペンから万年筆への進化に伴いペン芯が完成したころから、セピアインクが忘れ去られていったと考えられます。また、加工精度が低いと、耐水性が弱かったり、臭いが残ったりという問題も歴史上多くあったようです。

 1995年ごろ鳥取市大村塗料さんに超微粒子加工と耐水性と残る臭いの問題を相談したところ、2005年ついに完成。同年9月13日限定版100個即完売(鳥取県産智頭杉圧縮材を木地師、藤本かおりさんに作っていただいたボトルジャケット拭き漆仕上げ)(第1号は吉田璋也先生のお仏壇にお供えさせていただきました)と普及版ライトとダークを発売。その日は実に吉田璋也先生の命日でした。


(↓写真左限定版、中央普及版ライト、右普及版ダーク)



 復刻セピアインクは、イカ墨を超微粒子加工して、万年筆に注入しても詰まりにくく、耐水性、耐光性をもった、世界でも初めての画期的な万年筆用カラー天然顔料インクです。
古代ギリシャで生れたセピアインクは、羊皮紙、洋紙にはもとより、日本の和紙にもやわらかい表情で調和します。葉書や便箋を始め、書、そして絵と、広い用途でお楽しみください。インクフローの良い万年筆、ペン先のしなりが柔らかい万年筆でお使いいただきますと濃淡が出てより楽しめます。

ご注意
・耐水効果を発揮するには数日要します。水彩には3日以上乾燥してから色を載せてください。
 それまでは、水で溶かしてぼかしたり、修正、訂正が可能です。
・アミノ酸、タンパク質など窒素を含んだ有機物を除去してありますので、
 食用のイカ墨のような香りがしたり、腐ることはありませんが、
 製造工程でわずかに残留(1%以下)したアルカリ性水溶液の臭いを感じられる場合があります。
・他のインクと混ざるような使い方をしないで下さい。
・万年筆をしばらく使わないときはインクをコンバーターから排出し、
 インクを吸入する要領で水道水を吸入し、繰り返し洗浄してください。
・衣服などにインクが付くと落ちにくいのでご注意ください。

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 生産に大変手間がかかるため、月産20本程度です。在庫のない場合お届けに時間を要することもございますが、ご容赦くださいませ。

 沖縄、北海道向けの発送(航空便)にはMSDS成分安全データ表日本語版を、海外向けの発送にはMSDS成分安全データ表英語版添付させていただいております。